俵万智|広島市 家庭教師の本田

俵万智の作品

サラダ記念日

砂浜のランチついに手つかずの卵サンドが気になっている
また電話しろよと言って受話器置く君に今すぐ電話をしたい
午後四時に八百屋の前で献立を考えているような幸せ
オクサンと吾を呼ぶ屋台のおばちゃんを前にしばらくオクサンとなる
愛された記憶はどこか透明でいつでも一人いつだって一人

出版された当時は、伝統軽視だとか破格だとか言われたと思うが、「オクサンする」などといった軽薄な表現はさけているし、 「受話器置く」のが「君」か「自分」かちゃんとわかるように書いている。 つまり、作者は日本語表現にきちんと気を配っている。 特徴は「また電話しろよ」「おばちゃん」のように会話体をできるだけ一首に取り入れるところ、 「卵サンド」「午後四時に」のように場面のディテイルを大切にしているところ、 「透明」のように普通歌に使わない抽象語をさらりと使うところ。 大体が失恋歌で、中に父・母の歌が出てくる。 それは家庭への愛着というもので、それがまた世帯じみて、失恋につながるという循環。 大胆にいえば、恋の歌にみえるが、母の歌なのかもしれない。 そうすると、読者が何か落ち着ける歌であるという理由がわかる。

家庭教師の本田

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