📖 あらゆる科目で国語が最重要なわけ

国語  東北大学加齢医学研究所所長・川島隆太氏のに『頭のよい子に育てるために3歳から15歳のあいだに今すぐ絶対やるべきこと』を元に子どもの学力をどう高めたらいいかを考えてみます。

 まず驚くのが、朝食の取り方が頭のよさを決めるというくだりです。 例えば、パンだけの朝食だと、朝ご飯を食べていないのと同じで、午前中頭が働かないそうです。 おかずとともに食べないとだめなのだということです。 そういえば、私は子ども時代ご飯と味噌汁が普通でしたが、子どもたちはパンだけだったような気がします……。 さらに、朝ご飯をほぼ毎日とり続けた人は第一希望の会社に就職でき、幸福感が高く、高所得だというのには驚きます。 また、親と会話しながら朝食をとるのも大切のようです。 テレビだけ見て「いってきます」も言わず登校するようだと……。

 残念ですが、現代の子どもは保育園、学校、塾で嫌なことがあって帰ってくることが昔に比べ多いようです。 そのとき、家族に抱きしめてもらえさえすればそれだけで全く違ってくるといいます。 親子で1日10分あるいは週1回遊んだり、ホットケーキを作ったりするのもとてもいいことです。 親子が一緒に過ごす時間が長いほど、脳がよく発達するし、しっかり話をきいてもらい、自己肯定感が上昇した子どもは偏差値も上昇するそうです。 いわゆるスキンシップ、その中でいっしょにゲームをやり、がんばる子どもをほめてやるのは、多分数学オリンピックの過去問をやらせるよりずっと子どものためになっていると思います。 子どもに少々馬鹿にされるのを恐れず、おじんギャグをとばすのも一種のスキンシップではないでしょうか(やり過ぎは問題ですが……)。

 睡眠については、午後10時頃寝て早起きの生徒に成績優秀者が多いといい、8-9時間寝たほうが頭がいいそうです。 私も東大理Ⅰにいた時、クラスメイトに訊いてみると頭のいい現役生全員が8時間以上寝ていたのにびっくりしたのを覚えています。

 最後に、国語の成績を上げるのに、何が効果的かという点についてです。 ゲームをやればやるほど国語の成績は下がり、読書すればするほど言語脳が発達し、成績が上がるといいます。 電子書籍やディスプレイでも、活字のみを読むぶんには、脳の活動は変わらず、悪い影響はないということです。 ただディスプレイが小さいとだめで、電子辞書などもよくないといいます。 会話によって右前頭前野が発達するが、相手の顔を見ながら話さないとそうはならないそうです。 幼児時代の読み聞かせが効果的なのはその条件を満たしているからだといいます。

 これに関連し、私がずっと前から気づいていたことを書いておきます。 国語の成績が悪い生徒は、一般的に作文を書かせると、日本語がかなりおかしくなります。 また、声を出して読ませると、読み方に難があります。 恐らく、日本語の語い、構文、思考の組み立てなどに問題が生じているのでしょう。 日本語のリズムがきちんと体得できていれば、自然な感情の発露、抽象的で高度な思惟といったものが難なくできます。 そうした国語力は、ロゴス(ことば)の動物である人間のあらゆる精神活動に好影響を与え、ひいては子どもの学力全般を高めるものなのだと思います。

 最後に、歴史作家の司馬遼太郎氏の文章をご紹介しておきましょう。

 (欧米では)家庭でも、母親たちは、子供に、右の二つを基軸とした言語教育をする。 簡単にいえば、 「議論に負けるな」 ということである。
 「自己の主張、希望、否定と肯定などを、精密に言語化せよ。 言うについては、明晰であれ。矛盾のあることを平然と言うべからず。 感情をまじえるべからず。言語。すべては言語」 などと教える。 そのことが、個人の独立と尊厳をつちかうことに役立つと信じられているのである (個人の独立がなければ欧米社会では生きてゆけない)。
…貿易摩擦にしても、欧米は多大な言語量を日本にむかって投げつけてきているが、日本人に右の伝統や習慣がないために、すくみきっている。 黙っていれば、認めたとされる。 あるいは無知とされる。
「日本人は英語がへただから、多くを語らず、主張もひかえ目にする」 という人があるが、そういうことはありえない。 国語がへたなのである。 英語など通訳を通せばなんでもない。 いかに英語の達人が通訳してくれても、スピーカーの側での日本語としての国語力が貧困(多くの日本人がそうである)では訳しようもない。
…この文章に、に結論はない。 筆者としては現場の先生方に、祈るような気持ちでいるだけである(「十六の話」)。
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